そして渋谷駅

 さて、渋谷経由で外苑前駅に出かけた日のことです。検索結果の指示通り、JR山手線新宿駅から渋谷で降り、中央東口改札を目指しました。検索図では大変明瞭だったのですが、平面図と三次元空間でみる実物の落差は大きく、やはり戸惑いました。役になったのは頭上のサインボードで、銀座線とある方向に歩いていきましたら、思ったよりは歩きましたが、迷うことなく銀座線の改札口につきました。渋谷駅構内はまだまだ工事中で、いったん山手線の改札口を出て、広い通路からショッピングをして、それから目的の改札口に行くという選択肢は見つけられませんでした。多分違う改札口に出れば可能だったのでしょう。でもまあ、到着したのですから良し、としなければなりません。

 外苑前駅の渋谷寄りの改札口で待ち合わせ、近くのイタリアン・レストランでおいしい食事をしました。メインディッシュは大きな真鯛でした。イタリアンで真鯛の料理は初めてでしたが、大変に、大変においしい。おまけに頭に近い部位でしたので、大きい「鯛の鯛」を見つけました。(もちろんきれいにして持ち帰りました。)

 そのあと散歩をしました。かつてならここはよく友達とぶらぶら散歩をしたところだったのです。渋谷から歩いてもすぐのところです。町並みはだいぶ変わっていましたが、ぶらぶら歩く気分はかつてと変わっていませんでした。

 

 

大通り沿いに神輿が鎮座ましましていました。友人が「写真を…。よかったらお神輿の周りに…?」とお願いしましたら、神輿の写真は喜んでの様子でしたが、中に入るのはちょっと、とはにかんで辞退されました。

 しばらく歩いて行ったら、お神輿が端座し、その周りをご町内の皆さんが話をしていました。そういえば、少し前、西荻窪でも3年ぶりで神輿が集まり、50代、60代のおじさんたちが子供のようにはしゃいでいました。うれしかったのですね。この辺のご町内の皆さんのうれしさが伝わってくるようでした。

青々と空に向かって背筋を伸ばす姿は見事です。ここまで育つには何十年もたったことでしょう。人間よりも何年も何年も長生きする木々は、周辺の姿の移り変わりをたくさん見てきたことでしょう。人間と話が通じたら、どんな話をしてくれるのだろうかと、しばし思ったことでした。

 神宮の並木もよく見えました。まだ葉は緑で青々としていましたが。この付近のどの辺の木々が伐採されるのかわかりませんが、無残なことだと思いました。いろいろ事情はあるのでしょうが、せっかく大きくなった木々を…と思いました。かつて読んだいくつかの木々にまつわる話を思い出し、木々の悲鳴が聞こえるような気がしました。

途中で少しベンチに座っておしゃべりをしました。大きな木々が木陰を作って、蒸し暑い日でしたが、涼しい風を送ってくれました。この木々も残れますようにと心から思いました。

 絵本館の近くで、車が何台も長い列を作っている光景を見ました。いったい今は何が企画されているのかしら、と思ったのですが、どうやら乗車している方々の服装や持ち物から、これは神宮球場に野球の試合を見に行くのだということがわかりました。皆さん、絵本館の駐車場に車を止めておきたいのですね。そういえば、左門町に住んでいた友人のお母様はヤクルトの大ファンでした。

 そこから信濃町まですぐそこです。しばらくぶりに外苑周辺を散歩して心楽しいひと時でした。