ああ、渋谷駅

 渋谷駅は18歳で上京して以来、数年前まで馴染みの深い駅でした。学部学生のときは、新宿から五反田あるいは品川駅に行く通学路線の途中駅でした。当時は新宿駅のホームに乗客が溢れ、満員電車に乗るために後ろから押し寄せる乗客とそれを押して中に詰め込もうとするアルバイト(?)のおかげで何とか乗り込めました。手荷物は放しても下に落ちることがないくらいの混み方でした。不思議なもので、これ以上乗れないと思うのに、次の駅に行くと、何とか少なからぬ乗客が乗れるのです。いっぱいに入れたお茶筒をトントンと軽くたたくとまた隙間ができることを思い出しました。人間がお茶筒のなかのお茶みたいなもののように思えました。渋谷駅に来るとかなりの乗客がおります。それ以降はのんびりガラガラ電車で一息ついたものでした。

 大学院時代は渋谷から東横線に乗り換えて都立大学駅で降りました。そういえば、学芸大学も都立大学も、残るは駅名だけですね。JRから東横線への乗り換えは便利で、各駅はあまり混むこともなく、のんびり乗ったものでした。就職先が横浜でしたので、渋谷から横浜まで、(当時の東横線は各駅でも急行でも10分くらいしか違いませんでしたので)各駅でのんびり出かけていきました。

 就職して間もなく横浜駅の工事が始まり、40年ほどになる今もって、完成していないようです。続いて渋谷駅の工事が始まりました。何より不便になったのはJRから東横線への乗り換えで、JR渋谷駅の改札口から東横線の改札口まで数分かかるのです。非常勤先の駒澤大学へは、何とか最短の近道を見つけましたが、東横線は最悪でした。

 以来、渋谷駅で乗降するのを諦めました。横浜へ行くときは、自宅から一駅歩き、荻窪駅から丸ノ内線新宿三丁目まで行き、そこから副都心線に乗り換えて横浜まで行きます。30年以上馴染んでいた渋谷駅周辺は静かで楽しみ多いところでしたが、私の歩けるところではなくなっていきました。これは寂しく残念なことでした。

 ところがです。ついこの間友人の誘いで、銀座線外苑前駅で待ち合わせました。この路線は上京して以来、数知れず利用していましたが、迷路のようになってしまった今の渋谷駅からの乗り換えが少々不安でした。それで「渋谷、銀座線、乗換え」で検索をしたところ、まあ、なんとご親切に、大変わかりやすい説明を見つけ、心強くしました。例えばJR山手線外回りからは何両目の何番ドアに乗るとよい…という説明があるのです。しかも以前より便利になっているのです。この分では、渋谷駅も利用しやすくなって、また乗降できるかな、と希望も生まれてきました。

 私の知り合いの中にはパソコンもスマホもダメという人が少なからずいますが、私自身が使いこなすレベルからは遥かに程遠いのですが、年齢を重ねたら、パソコンやスマホは使えると生活しやすいと思いました。というわけで、IT機器苦手の私も、何とかできる範囲で利用している日々です。