お盆休みを利用して、今回はゆっくり山で過ごしました。東京の気温は連日36℃前後、蒸し暑く、出かけるのも、家で大人しくしているのも、それなりに大変でした。山の温度は東京と約10℃異なります。お盆前の村はレタスの栽培、収穫に大忙しでした。お盆休み、行動制限がない夏というわけで、あちらこちらで、帰省、行楽という時期に、村中は汗水たらしての毎日です。お陰でおいしいレタスがいただけますが、ちょっと申し訳ない気持ちも・・・。
東京を出て、佐久を過ぎて野辺山辺りになるとだいぶ涼しくなってきます。さらに山近くなると、空は高く、青くなります。空の青さも秋の気配ですが、そこに浮かぶ雲もそろそろ秋の風情です。土手の薄がそよそよ吹き渡る風に揺れていました。女郎花も一杯咲き乱れていました。こちらはもう秋です。
山の家の外階段脇にミヤマモジズリ(深山文字摺)が咲いていました。
高さは10-20㎝くらい、花は淡い紅色、姿が少しモジズリに似ているので深山文字摺と言われるそうです。7ー8月に咲きます。可憐なきれいな花ですが、鹿もこの花が好きらしくあまり見られません。残念です。これは食べられてしまった後にまた芽を出して咲いたようです。
散歩をしていたらツリフネソウに会いました。
以前、京都の貴船に行ったときに見た黄色と紅色の釣船草の群生を思い出しました。これも鹿は食べるのかも知れません。撫子、桔梗、松虫草など、秋の花が皆いなくなりました。みな鹿の胃袋の中でしょうか。あんなに可愛い顔をしているのに、あんなに円らな瞳をしているのに・・・。
薄まで貪欲に食べてしまう鹿が食べないので、お陰でこの夏たくさん見ることができたのがイケマ(牛皮消)です。
イケマは夾竹桃の仲間ですが、こちらは蔓植物で、あちこちに、いえ、どこにでも巻き付きます。巻き付く草木がないと地面や石垣に絡みつきます。2ー5m位の高さになるそうです。葉の形は卵形の対生で、その真ん中に小さい花が固まって球形に咲きます。可愛い花です。花が終わると、オクラに似た実がなります。毒草だそうですが、生薬にもなり、根にはアルカロイドの毒性があるので要注意とのこと。学名のcynanchumhaは「犬を殺すもの」という意味だそうです。イケマという名はアイヌ語で「それの足」、「それ」とはカムイ(神)の婉曲な言い方だそうです。若芽と5㎝位までの実は、お浸し、卵綴じ、天麩羅、バター炒めになるとの紹介文がありました。根も焼いたり煮たりして食べられるそうですが、生煮えだったり食べ過ぎると中毒するそうです。
食用の草木といえば、この時期、独活の花がおいしいです。
これはなんといっても天麩羅がおいしいです。山菜らしい香りがなんともいえなせん。平地の独活も同じでその花もおいしいそうですが、庭などで独活を見たことがありません。私たちが毎年いただいている独活は畑で作られているのでしょうか。平地に咲く独活の花が見たいと思いました。
もうすぐ食べごろを迎えるのはツノハシバミ(角榛)です。
写真の実はまだ乾燥が足らないせいか、まだまだでしたが、もう少ししたら実が食べられます。榛と似た味だそうです。あちこちにこの木を見つけたので、今度、たくさん取れると良いなあ、と思って楽しみです。
山葡萄もあと少しです。
イソップの、狐が届かない葡萄の実を見て「あれは酸っぱい」と言って諦める話に出てくる葡萄は山葡萄でしょうか。もしそうなら、あれは酸っぱい葡萄ではなかったのかもしれません。もしそうなら狐がちょっと可哀想です。別の場所で、届く所に実っている葡萄が見つかると良かったなぁ、と思ったりします。食いしん坊なので、食べ損なった話しは、狐でも同情します。
東京に戻り、一夜明けましたら、朝顔が咲いていました。
友人にいただいた種を蒔いてみたのです。正直に芽を出し、葉を出し、花がつきました。朝早くに咲き、暑くなる頃に萎んでしまいます。東京も夜には虫も鳴き始めました。お山だけではなく、東京にも秋は忍び寄ってきているのですね。暑い、暑いと思っていましたが、夏もそろそろお終いでしょうか。少し寂しいです。