寒休み

寒の入りから九日目の寒九の雨の日は、今年は1月13日でした。13日は冬晴れでしたが、前日の12日には雪ならぬ小雨が降りましたから、一日違えば丁度よかったのですが。まあ、一日違いくらいは大目に見て、今年の春は近いと思うことにして、ちょっといい気分になりました。 

寒の入り、小寒大寒という時期になると小学校時代の寒休みというのを思い出します。冬休みが終わって少したった大寒の頃に一週間ほどのお休みがありました。寒冷地特有のお休みだったのでしょう。夏休みがその分少なくなるのですが、そんなこととは全く思いませんでした。一回よけいにちょっとしたお休みがあることがうれしかったものです。 

お休みの前に、「これは夏休みのようなお休みとも違います。本当は授業があるのですが寒くて学校をお休みにするから、授業に出ているような気持ちでお勉強しましょう。遊んでいないで必ずお勉強をしてください、」と言われたものです。かくして、夏休みや冬休みよりも多めの宿題が出ました。と言っても、セッセとやれば、一日に1時間か2時間ほど机に向かえばいい程度の量ですが。宿題の内容は4教科を中心に、絵日記、図画工作、作文などだったでしょうか。 

お休みの一日目は日課表を作ることです。起きる時間、寝る時間、食事の時間をまず書き込み、次に勉強時間と休み時間を決めます。それから具体的に宿題を入れていきます。次に、色分けをして、好きな色を塗っていきます。気に入った内容の項目には好きな色を塗ります。これできれいな日課表が出来あがるというわけです。

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小学校4年生の時の寒休みの日課表を書き直してみました。元の表は片付けものをしていたら出てきました。起きてすぐと寝る前の青い部分は「起きてからのしたく」と「寝る前のしたく」です。自由時間がいっぱいあります。

夏休みや冬休みはなかなか計画通りにはいかないのですが、寒休みのような短い休みで、おまけに暑すぎてだらだらするとか、年末年始の行事続きで静かに一日を過ごしにくいとかいうこともないからでしょうか、子どもの私に管理できる期間は精々一週間ということなのでしょうか。ともかくも、できあがったた日課表通りに、なんとか日々が過ごせました。計画通りに物事が成り行くというのはめったにないことですから、幸せな思い出の一つです。 

子どもの頃は、するべきことというものは、学校の宿題とか親から言われていることとか、私の意思に関係なく決まっていました。そうした事を書き入れると、残りの部分はわずかです。ですから日課表を作るのは難しくありませんでした。就職して教師をしていた時も、ほとんどの時間は、予習、授業、研究などするべきことで埋まり、残りの時間はほとんどないというより、するべきことをする時間も足りないほどでした。定年退職して毎日が日曜日になったら、寒休みのときのように楽しく日課表を作って、気分良く日々過ごしたいものだと思っていました。 

退職して、週に二回の仕事日のほかは、一日中が私の時間になりました。そこで、いよいよ日課表を作ってみることにしました。いつでしたか、小学生相手の塾教師をしていた友人から聞いた、日課表や計画表を作る時の心構えも思い出しました。それによれば、欲張りすぎないこと、したいと思ったことではなく出来ると思ったことの7割か8割位の事を日課表や計画表に入れること、もう一つ、一日のどこかと一週間のある曜日を調整時間や調整日としてとってとおくこと、演習系の問題なら頁数ではなく問題数を書き込むこと、(頁数では内容によっては半頁すら時間がかかる、)ということでした。なるほどです。 

というわけで、退職して以来、これまで何度か日課表、計画表作成に乗り出したのです。素敵な計画表を作ろうと思っているのですが、これが難しいのです。ほんの少しの隙間の時間を埋めるというのはまあ楽で、何とか実行可能なものが出来るのですが、まるまる白紙の24時間の日課表や週間計画評を作成するためには、想像力と自己把握ができていないようで、作るたびに、これは実行不能だと思うなものばかりができてしまうのです。 

修行僧や尼さん、修道者の日々のように、きちんと一日、一週、一月、一年の計画を乱れる事なく、ひたすら時間に合わせて暮らすということにも、ちょっとした憧れがあります。しかしそれは、まずできそうもありません。起きる時間、寝る時間、食事の時間くらいは決まるでしょうが、それすら時には規則通りというわけにはいきません。もしかして日課表とか計画表などというものはない方がいいのかも知れません。でも目安くらいはほしいと思うのです。 

というわけで、日課表、計画表は今もってなかなか完成できないでおります。まあ、計画は立てている間が楽しい、ということもありますので、それもいいかもしれません。ああでもない、こうでもないと思いつつ、日課表、計画表を作るべく、楽しく計画を立てつつ時が流れていく次第です。