赤い実

以前から気になっていたのですが、ご近所に、緑の葉がきれいな大きな木があります。秋になると赤い実がたくさんなります。そのお宅にはその木が2本もあります。通るたびにこの木は何だろうと思うのです。図鑑で調べても、似たような木はいっぱいあって、よくわかりません。ネットで検索してもやはりわかりません。たまたま、そのお宅の方が外に出ていらしたので、思い切って尋ねてみました。「あら、そんな木がありましたっけ。ご免なさいね。木のことはあまり知らないんですよ。」というわけで、今もってわかりません。 

そんなことを考えながら歩いていたら、駅を少し越えたところにある遊園地に、赤い実を一杯つけた大きな木を見つけました。ご近所のお宅のものより二回り以上大きい木です。ただ、この木があのお宅の木と同じ木なのか違うの木なのか、その区別がつきません。遊園地は金網で囲われているので、いつも駅に行く途中で通りかかり、気にしながらもまだ確かめていないのです。近いうちに写真に撮って、ちゃんと調べてみたいと思います。

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こんな感じの木です。赤い実は多分小指の先くらいの大きさで真丸に近い形です。色はオレンジではなく赤です。下手な私の絵で見るとクリスマスツリーみたいですが、そのくらいたくさん実がついているのです。

 行きに帰りに赤い実を眺めているうちに、「赤い鳥小鳥」という歌を思い出しました。赤い鳥は赤い実を食べ、白い鳥は白い実を食べ、青い鳥は青い実を食べるという歌です。あの歌は、最初の出だしが「シャボン玉とんだ」に似ているので、出だしを間違えると、しゃぼん玉のメロディで歌ってしまいます。途中でメロディと歌詞が合わなくなり、おかしなことになったものでした。この歌を歌うたびに、白い鳥はよく見るけれど、赤い鳥や青い鳥はいるのかしら、白い実、青い実はあるのかしら?なんて考えたものでした。

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自然の鳥はあんなに美しく様々な姿態を見せるのに、私が鳥を描くとこの形にしかなりません。図鑑の挿絵を描く画家は本当に素晴らしい。植物でも動物でも。

赤い実は、南天、万両、千両、青木、冬青、餅木など、たくさん思いつきます。白い実はすぐには思いつかず、調べてみましたら真珠の木、白の実南天、白実の万両など、いくつかあります。残念なことにどれも見たことはありません。赤い南天は小鳥が好きですから、きっと白い南天も美味しいのでしょうね。青い実は、ブルーベリーとかプルーンなど、人間も喜んで食する実があります。鳥もきっと好きでしょうね。そのほかには車輪梅、柊南天などの実は青いですね。ともかく、どの色の鳥にもその色の実があってめでたいことです。 

一方、鳥の色の方は難しいです。赤い鳥、白い鳥、青い鳥といっても、当然ながら全身その色一色という鳥はないのではないかと思っていました。調べた限りでは、赤ですと、夏風琴鳥は全身赤い鳥のようです。他に赤翡翠とか紅猿子はかなり赤いです。赤腹、赤髭などは赤の多い鳥のように思います。頭や胸や腹がきれいな赤い鳥はかなり多いです。青い鳥は、アメリカにいるマウンテンブルーバード(無地瑠璃鶫)が全身青い鳥でしょうか。写真でみるマウンテンブルーバードの雛はきれいな青です。日本にいる鳥では、全身一色というわけにはいきませんが、大瑠璃、小瑠璃、翡翠、瑠璃鶲、仏法僧などは青い鳥に入るかしらと思います。白い鳥は白鳥、白鷺、信天翁、冬の雷鳥、大鷺、白文鳥。意外に多いですね。家鴨やや鵞鳥は入れませんかしら。 

この鳥たちが、赤い実を、白い実を、青い実を、おいしい、おいしいと言って啄んでいる姿を想像すると楽しくなります。道すがら見る草花や樹木は、それだけでも楽しいです。でも、そこに咲く花、木の実を求めてやってくる鳥たち、小動物を一緒に見るのはさらに楽しいです。しかも、それがかつて私を育ててくれた童謡や童話と結びつくならば、私の足取りはもっと軽く、心はもっと豊かになれます。赤い実のなる大きな木と「赤い鳥小鳥」のおかげで、駅に行く道はさらに楽しくなりました。