小さな楽しみ

先だって、出かけたついでに食器やインテリア売場を眺めました。買物はあまり好きではないのですが、食器やインテリア売場は好きなところです。混雑するほどお客さんがいないというのも気に入っています。食器や家具小物だけでなく、調理器具を見るのは楽しいです。料理をよくするということはお世辞にも言えませんが、調理道具は素晴らしい。調理小物も楽しい。(物騒と言われますが、)刃物はとりわけ好きです。刀剣は子供の頃から美しいと思い、引き込まれるような魅力を感じましたが、似たような感動を調理用刃物にも感じます。

その日も気分よくゆっくり眺めておりますと、展示品販売コーナーに、たくさんのマトリョーシカが並んでいるのです。古くからよく見る女の子だけではなく、熊などの動物や、花瓶など、多様な工夫が見られ、色鮮やかで、それは目も心も惹かれました。

 

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ツリーと小さな人たちです。上から三番目の所が開いて、そこがこの人たちのお部屋です。居心地はいいでしょうか。まあ、しばらくは小春日和の空気を味わってください。

その中で一つ大変心惹かれたものがありました。クリスマス・ツリーで、本当はマトリョーシカではないのですが、ツリーの中に、小さなペンギンや雪達磨が入っていて、なんとも可愛いのです。ツリーの高さも15㎝あるかなしかの小ぶりのもので、小さなペンギンたちは2㎝以下です。小さいものですが、一つ一つ丁寧に作られ、ペンギンさんたちや雪達磨さんたちの表情が何とも言えず愛らしいのです。

ミニチュアの本、飾り物等々、小さなものはそれだけで魅了されます。かつてミニチュア展で、お米一粒に書かれた般若心境や1セントコインからティーセットを作り出した作品などに魅せられ、あちこちで小さいものを求めたものでした。小さい精巧なものはそれだけで魅力があります。まして、その一つ一つの細工が丁寧で愛らしければ、これはもう、運命の出会いです。というわけで、クリスマス・ツリーは我家にやってきました。飾るのはクリスマスまで待っていようと思い、小さな人たちは中に閉まってしばらくは眺めていたのです。

ところが、ある小春日和の日、光を受けたツリーの模様がキラキラ光っているのです。ああ、これは小さい人たちを外に出してお日様の光を当ててやらねば、と思いました。クリスマスの飾りを出すには早すぎるのですが、小さい人たちをツリーのお腹から出して飾ってみました。

ミニチュアの飾り物が好きで、お茶会セット、動物園、動物のオーケストラ等々、いろいろあったのですが、繰返す引越のなかで手放さざるを得ませんでした。もう小さいものは集めない、と思っていたのですが、いま、ここで、終の棲家で、クリスマス・ツリーと小さい人たちは同居仲間となりました。

この人たちとは、クリスマスの時だけに会うだけでなく、仲間となって、ずっと一緒に暮らそうと思います。