秋の朝

台風が過ぎて、真っ青な空に風が渡っていきます。散歩をしようと門を出ましたら、百日紅の花がたくさん落ちていました。おやまあ、こんなにたくさんの花が咲いていたのだわと見上げると、紺碧の空に向かって鮮やかなピンクのフリル達が踊っていました。見下ろすと、羊歯に舞い降りた花びらが一休みの様子。

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このまま、部屋に飾ってもきれいかな、と思った風情でした。

私の後に、もしも小さな女の子がついてきたら、掌にのせて眼を見張るだろうか、と想像してみました。百日紅の花びらのような裾のワンピースを着せた、小さなお人形を作れたらいいなと思いました。

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小さな掌の上の花びらはお人形さんのワンピースのように見えます。

花の落ちた具合を見ようと、ぐるっと一回りしました。お隣に近い南端で面白いものを見つけました。かつてはここには金木犀、白梅、甘柿などの立木があったのですが、仕事部屋の増築でなくなってしまったのです。一階の居間からは仕事部屋の先は見えませんので、その先の木々は外からしか見えなかったので気がつかなかったのです。 

一番奥には木槿があります。薄いピンクの花びらの奥に紅色の斑があるやや小ぶりの木です。2、3メートル離れたその手前にピンクの芙蓉があるのです。なんと、その芙蓉の幹が横倒しに倒れ、その天辺が木槿に巻き付いているのです。芙蓉は枝々を四方八方に伸ばし、地面に落ちないように体を支えながら木槿の幹に辿り着いたのです。木槿は天に向かってたくさんの小枝を延ばし、枝の先々に花を咲かせています。その幹の中程に芙蓉が絡みつき、そこに木槿より濃いめのピンクの花を咲かせています。横になった幹の途中の枝のあたりにも花を咲かせています。写真に撮れないところにあり、うまく絵にも描けないのが残念です。これは凄いと、花を咲かせたい必死さに吃驚し、そして感動しました。

さらに驚いたのは、芙蓉の辺りの草々に巻きついた凌霄花です。この幹はずっと東側にあるはずで、例年はこんな所まではやってこないのですが、今年はこんな所まで蔓を伸ばしてきたのですね。ここが先端ですから、これは今年最後の凌霄花です。

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一番先端の凌霄花です。こんな先の方で、よく頑張って咲いたものよ、と思った次第です。

裏に回って、気になる臘梅のところに行ってみました。大変に悔やまれることに、梅雨が長く続き、わざわざ水をやる手間が省けていたのですが、その後に続く猛暑でもつい怠け、臘梅の葉が茶色になってしまったのです。細い幹の先を切ってしばらく様子を見ましたら、ありがたいことに、枝の所々に緑色の芽をつけたのです。根が生きていたのですね。いたく感激するとともに、猛省し、ごめんなさい、と心から謝ったのでした。植物の生命力の強さは、折々に認識させられますが、凌霄花といい、臘梅といい、今日もまた改めて感じ入ったことでした。