雨の日の贈物

雨が降り続くなか、久慈名物の贈物が届きました。退職時にゼミ生の同窓会をしたのですが、出席できなかった卒業生にゼミ生中心に出版した本を届けたいと思っていました。退職時に積み残した雑事に紛れ、今になってしまいました。贈物は卒業して郷里に帰った卒業生からでした。郷里の短大を卒業して編入してきた学生でした。4月最初の英文購読の授業で、必修科目のクラスがわからなくて私のクラスに来たのが縁でした。専門ゼミにも入りたいというので、ではよろしく、という具合に仲間になりました。

口数は少ないのですが、ユーモアもあり、気立てのいい、芯のしっかりした優しい学生でした。ゼミの仲間に頼りにされ、慕われていましたが、彼は淡々と、そしてにこにこと受け止めていました。金曜日のゼミのあと、仲間は彼のアパートに集まりというか押しかけ、月曜日にはビールなどの飲物の瓶缶で一杯の大きなゴミ袋を収集場所に運んだものだったということです。ゼミでは毎夏、知りあいのペンションで合宿をしていましたが、その時、久慈から立派な海胆がたくさん届いたことがありました。お母様の温かいお心遣いです。今もありがたくその事を思い出します。

卒業後彼に会ったのは一関ででした。東日本大震災のあと、東北在住の卒業生に会いたいと思って出かけて行きました。まだまだ復興の兆しの遠いその時期、都合がついたということで彼にも会うことができました。私自身が久慈まで行こうと思いましたが、一関まで来てくれました。それも奥さんと一緒に。嬉しい驚き、楽しいひとときでした。久しぶりに会った彼は昔のままの実直さで、年月の隔たりを忘れました。マラソンを始めたそうで、東京マラソンだったか青梅マラソンを走ったということでした。今年はCOVID19のため東京マラソンに一般参加が認められず残念なことでした。再開できることを願い、その時に彼の雄姿が見られることを祈ります。

そんなことを思い出しながらさっそく贈物の久慈ラーメンとお菓子を賞味しました。

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久慈からの名物です。ここにおいしいどら焼きもあったのですが、あっという間にいただいてしまいました。もう一つ、軽いおせんべいも入っていましたが、これまた家族の胃袋の中です。ごちそうさまでした。

 

ほかの卒業生たちからも電話や便りが届き、久しぶりに話が弾み、慰められ、励まされました。便りのない卒業生も忙しく日々の暮らしを営んでいることでしょう。なんといい学生たちに恵まれたことか、教師冥利に尽きると鬼の目に涙です。